スタジオピオティータでのライブストリーミング設備について。


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スタジオピオティータでのライブストリーミング設備について

 

スタジオピオティータでは、ライブストリーミング(インターネットの生放送)のための高音質・高画質の機材の調達と環境整備がほぼ完了し、運用のテストを開始いたしました。

調達が終わったのは、プロ仕様メインマイク x1ペア、サブマイク x1、アンビエントマイク x1、ハイレゾ対応オーディオ・インターフェイス、4K対応のカメラ x3台、高品位画像処理コーデックインターフェース x2、動画の高速処理が可能な高性能PC、上り最大2Gの高速インターネットと高速対応ルーター、の各機器です。

これからしばらくのあいだ、十分な運用テストによる配信クオリティーの確認を行なうとともに、照明装置の改善や、配線の設定撤収の容易化、課金システムの実証評価、など補足的な詰めも行なっていきます。

本格稼働開始は4月を予定しておりますが、どうぞご遠慮無くお問い合わせください。機器の内容や運営方法の準備状況についてお伝えすることは可能です。

ライブストリーミングへの思い

ピオティータがなぜライブストリーミング設備を導入しようと考えているか、その思いをシェアさせていただきます。宜しければお読み下さい。

ピオティータは、少人数で演奏される広義のクラシック音楽(器楽や室内楽=古楽や現代音楽を含む)を若い世代に引き継いでゆくことがとても重要な課題と考えています。近年この種のクラシック及び関連ジャンルの演奏会には若い世代があまり来ていません。これでは遠くない将来にこれらのジャンルは絶滅危惧種になってしまいます。

そんな問題意識の中、ピオティータはライブストリーミングに注目いたしました。ハード面も運営プラットフォーム面も日進月歩の勢いで進み、それを利用して若い世代が中心となって独創的な配信を始めています。クラシック音楽の世界でも、ライブストリーミング設備が音楽家が若い世代の聴き手に向けて発信する新たな選択肢を提供するのではないか・・・、ピオティータではそう考えました。クリエーティブで行動力のある音楽家が、この設備をどう活かしてくださるか、楽しみでなりません。

振り返れば、20世紀はレコード(のちにCD)の一般化・大衆化によってクラシック音楽の裾野が大幅に広がった時代でした。そして日本にも、欧米の優れた音楽家がレコードやCDによって紹介され、多くの音楽家の来日への扉を開けて、その素晴らしさを多くの人が知るに至りました。これが日本のクラシック文化の礎を築いたのです。こうした歴史によって、世界的に活躍する日本人演奏家が増え、楽器や歌を学ぶ人々やアマチュア演奏家の数も欧米に引けを取らない国になりました。熱心で耳の肥えた聴衆層が育ったことも忘れてはならないことでした。

コンサートホールでの生演奏に比べて、レコードやCDで味わえるものにはさまざまな制約もありました。しかし逆にレコードやCDでしか味わえない魅力が生まれていったことも忘れてはなりません。これは音楽ファンには福音でした。

インターネットやスマホが生活の基盤になった現代において、音楽がネット経由で提供されるようになったことは我々のアドバンテージです。前の時代を知らない若い世代にとっては、そのルートで流れてくるものがすべてと考えている人も多いはずです。かつてレコードやCDが歴史的に重要な役割を果たしてきたように、ネット経由でクラシックを若い世代に広めてゆくことは、21世紀を生きてゆく世代の使命だと考えます。

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この仕組みによって、時間と空間の壁を乗り越えられることにもご注目ください。ライブストリーミングでは、夜21時半開演というようなこれまでのクラシック演奏会の常識を打ち破る設定も可能です。古楽を日曜朝9時開演のコンサートとして設定する、などもできます。(ピオティータの営業時間は朝8時から23時までです。)

生の演奏を楽しめる時間帯の選択肢が広がれば、これまで以上に広く聞き手を増やすことができることでしょう。視聴者は、家族・友人・ワンちゃん猫ちゃんたちと思い思いのスタイルで、時にはリビングでお酒を飲みながら、またある時は一日の終わりのくつろいだ時間に、というような多彩な楽しみ方ができます。

海外の知り合いに聞いてもらうことも可能ですし、首都圏での演奏を遠い故郷のサポーターさん達に届けることもできます。インターネット経由の配信は、演奏者と視聴者の距離をゼロにするのです。

そして生中継は、編集済の録音動画とはひと味もふた味も違います。生放送ならではの偶然性や即興性、シナリオを作った作り込みとハプニングの混在、そして演奏後に双方向のコミュニケーションもできます。テクノロジーの進化によって、これからの時代はライブによるコミュニケーションが人々をつなぐことがメインストリームになると考えます。実際の演奏会に足を運ぶ事との相乗効果も十分に考えられます。

ネット経由で生演奏を提供するには制約もあるのは明らかです。しかし、レコードやCDが制約のある中でも新しい味わいを提供したように、ネット経由での生演奏の楽しみ方は、きっと新しい可能性を開くはずです。

ピオティータは、ライブストリーミングを利用してみようとお考えの音楽家・関係者お一人お一人のニーズに寄り添えることを目指していきたいと考えています。もちろんできること、できないことは出てきてしまいますが、最大限のクオリティと可能な限りの柔軟性を追求していけるよう挑戦をいたします。

どうぞご期待ください。

2019年2月
スタジオピオティータ 西澤新
(一般社団法人 ムジカテミス代表)